皆さんは、知覚過敏という言葉は聞かれたことがあると思います。テレビでも知覚過敏用の歯磨き剤のコマーシャルが多く放映されていますよね。冷たいもので歯がしみる、歯ブラシを当てたらピリッと痛い、甘いものを食べると歯がジーンと痛むなど、穴があいているわけでもないのに感じる痛みがいわゆる知覚過敏という状態です。
しかし自分で勝手に思い込んで、正しい治療が受けなかったことで、歯を悪くしてしまったという様なことにならない為に、知覚過敏について正しい知識を持っておくことが大切です。
知覚過敏の原因は?
大きく分けて、次の4つが考えられます。
- ブラッシング(歯磨き)のやり方がヘタである。
- 歯周病や歯肉炎が原因
- 歯ぎしりや噛み合わせが原因
- 知覚過敏ではなく、むし歯があった。
これらの原因についてそれぞれ治療方法は次のようになります。
- 歯磨きの方法に問題がある場合
毛先の固い歯ブラシを使ったり、強く磨き過ぎたりしたら、歯の根元のエナメル質がすり減って歯の根っこが出て(象牙質が露出)しまうことがあります。<BR>
象牙質には細い管状の構造物(象牙細管)があり、その管を通して外部からの刺激が内部の神経(歯髄)に伝わります。歯の神経は温度・圧力などを区別することなくすべての刺激を痛みとして感じることになります。それが冷たいものも、甘いものも、歯ブラシの接触も痛みと感じる知覚過敏です。<BR>
この場合には、正しいブラッシング法をすることによって、歯がこれ以上削れないようにして、知覚過敏止めの薬剤を併用することによって、再石灰化を促進し、知覚過敏はだんだんと改善されます。
- 歯周病や歯肉炎が原因の場合
歯周病や歯肉炎というのは歯茎と骨と歯の病気です。歯周病菌によって、歯肉は炎症を起こし腫れたりまたは逆に痩せたりして歯が弱くなってきます。歯肉が下がってきますから歯の根っこが露出して、象牙質がむき出しになり知覚過敏になります。<BR>
この場合には知覚過敏・歯周病の治療を同時並行して進めます。歯周病が進行してしますと歯を失うことになりますから、しっかりとした治療が必要です。
- 歯ぎしりや噛み合わせが原因の場合
歯ぎしりや喰いしばりの癖のある方は日常に噛む力と比べ物にならない強い力が長時間にわたって歯にかかることになります。この力によって歯が削れたり、ひび割れ(マイクロクラック)が入って、象牙質が露出し、知覚過敏になることがわかっています。<BR>
歯ぎしりが原因の場合は、就寝時の無理な咬合を解消するためにマウスピースのようなもの(ナイトガード)を装着したり、かみ合わせに問題がある場合には、無理なかみ合わせがなくなるように、全体的な治療を進めることになります。その患者さんのケースに応じた治療をすることで、解決することができます。
- 知覚過敏ではなく、むし歯があった。
「穴が開いていないから知覚過敏」と自己診断して知覚過敏用の歯磨き剤を使っていても一向に良くならない場合は、むし歯を疑った方がいいでしょう。歯と歯の間や、詰めている金属の下の虫歯は歯科医院でも見つけるのが難しいくらいですから、皆さんは自己診断して放置しないで、早めに歯科医院を受診して、きちんと調べてもらって適切な対応をとることをお勧めします。
その他にも歯石取りの器械を使った後や、ホワイトニング治療中、矯正治療中に一時的な知覚過敏になることがあります。どれも原因をはっきりさせてしっかり治療できますので、かかりつけの歯科医院でご相談されるといいですね。
にし歯科医院 院長 西 信太郎
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